
鼻が効く
きな臭い
胡散臭い
人間の嗅覚をあなどることなかれ
においには重要な情報が沢山組み込まれている。
私の母の1度目の癌は、大腸だった。
その一年前位から彼女が発する臭いが
普通ではなかった。
通じの悪い感じの臭いを常に発していた。
この時期、彼女は都会の港区の本院から、下町の葛飾区の分院に降格した後、左遷された時だった。(東京慈恵会医科大付属病院に勤めていた)
身も心もズタズタだったはずだ。
身内だったから、遠慮なくその臭いの事は
かなりストレートに伝えてはいたが、
余りにもハードに仕事をこなしていた彼女の
耳には届かなかったのだ。
結局彼女は、慈恵をやめて上野の病院に移った後、産院を経営する為、これまた猛烈に勉強して、身体を酷使して2度目の癌になり、その一年後、息を引き取った。
時は経ち、それから10年後
長男が9歳の時。
彼が保育園の年中の時から空手に通わせていた。
これは、もう完全なる私のエゴで
彼の身体が丈夫になって欲しいのと、
単純にブルースリーとか、ジェットリーとか
朝青龍とか(カテゴリーがおかしいのはちょっと脇において)格闘技をしている男が
好きだったからである。
そんなある日、彼が小3の時、一緒に通っていた仲良しの子が辞めた。その辺りから長男の口臭に気がついた。 稽古の日や試合の日は特にしていた。
空手に通うのは嫌かな?と長男に尋ねたら
うん、と言い、
辞めるかい?と聞くと
今度は言葉なく頷いていた。
その後
臭いは終息していった。
腐ったものを食べないようにとか、
危険な物を避けるとか
自身の生死に関わる重要なジャッジを
するだけでなく
愛する人を守る役割も担っている。